NPO法人ファザーリング・ジャパン丨笑っている父親になろう

お知らせ

2023.11.22 ニュース

いい夫婦の日に発表!「働く育児期家族」のレジリエンス調査

子育てそのものには9割が肯定的なのに、半数は抑うつ状態

仲の良さより日々の家事育児を共に行うことで培われる「家族としての適応性」と

ライフキャリアの「長期的展望」「多面的生活」「楽観的思考」が鍵

上司や同僚との相談&後押しが個人と家族のレジリエンスを高める

※「レジリエンス」 何か困難なことが起きた時にそれを乗り越えるだけでなく乗り越えた経験によって個人または家族 として成長する過程。もともと備わっている力でもあり経験によって獲得できる力でもある。

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 夫婦が共に家庭も仕事も担う家族の実現を目指す「共働き・共育て」。2024年度から3年間集中して取り組むこども未来戦略方針「加速化プラン」の一つとしてあげられています。岸田内閣が異次元の少子化対策を表明して間もなく一年。今の家族の現状を探るべく、NPO法人ファザーリング・ジャパン(東京都千代田区、代表安藤哲也、以下FJ)では「働く育児期家族のレジリエンス調査」と題し、未就学の子どもがいる20−50代の働く男女1,030人を対象に、個人の抑うつ状態と子育てへの肯定感の二つの観点で状態、及び家族の資源とレジリエンスの関係を調査しました。

 調査結果から、9割前後が肯定的な子育て感を抱いていた一方、精神的な状態については、全体の42%が抑うつ状態にあり、第一子が0歳の男性の割合が57%と最も高く、精神的状態と子育ての捉え方に乖離が見られました。 

 抑うつ状態と肯定的子育て感それぞれへの①家族のレジリエンス②個人のライフキャリアレジリエンスとの影響をみたところ、①のうち、家族の柔軟性や対応力を表す「適応性」の影響が最も大きく、家族の結びつきの強さを表す「凝集性」の影響は見られませんでした。②では、長期的な視野を持ちながら今できることに取り組む「長期的展望」が最も影響が大きく、男性においては「多面的生活」女性においては「楽観的思考」も影響していました。また、配偶者との家事の負担の偏りはレジリエンスを低めること、夫婦間で育児を同程度負担することがレジリエンスを高める傾向も見られました。

 ライフにおける資源(ひと・こと・もの)と職場における支援(ひと・こと)の二つのレジリエンスへの影響を検討したところ、最も影響していたのが職場における「ひと支援」、すなわち、上司と同僚からの理解と後押しでした。職場のひと支援は個人のライフキャリアレジリエンスを高めるだけでなく、家族の「適応性」、そして家族の中の良さを表す「凝集性」にもプラスに影響していました。さらに、配偶者はもちろん、職場の上司や同僚も日々の働き方だけでなく、子育ての悩みから今後のキャリアまで幅広いトピックの相談相手となっていることが分かりました。

 以上のことから、働く育児期家族には、家庭内の適応性を高めるために日々の家事育児を共に状況に応じて柔軟にフォローし合える関係性を構築することが重要であり、それを可能にする職場環境が鍵となることがわかりました。また、上司や同僚といった職場の相談相手の存在がレジリエンスを高めると同時に、精神的負担の緩和へも影響する可能性があることが示唆されました。

 「共働き・共育て」の実現、そして「安心して子どもを生み、育てられる日本の実現」は今後「加速化」するのか。鍵の握るのは改正育児・介護休業法の更なる推進、マネジャー層への意識改革、そして家庭や職場において共に負担と不安を担い合う関係性の構築なのではないでしょうか。

 

NPO 法人ファザーリング・ジャパン代表理事 安藤哲也 コメント

 今回の調査結果から働く育児期家族は夫婦共に疲弊している。なるべく同じ目線でパートナーと共に育児家事をこなしつつ、コミュニケーションを取りできるだけそれを楽しむこと(笑顔になる工夫をすること)。それは家族だけでなく職場の上司や同僚とも同じで、それぞれの家庭事情を共有、相談するなかで(現実受容)、使える制度の理解・取得促進や働き方をより良く改善することで家庭の状況は好転することが分かりました。

 ワークライフバランスや子育て講座では、モヤモヤしている父親・母親達に、「顕微鏡ではなく望遠鏡的な視点を持つとよい」と伝えます。 10年後とか20年後、子どもが巣立ったあとに夫婦はどうなるのか、どうしたいのかをビジョンを持って話し合うといい。子育てが終わる未来において、夫婦が笑顔であるために今どういうキャリアや家庭生活を送るのがいいのかを考える。そうした人生を俯瞰した目線をもつこと、それに応じた思考・行動を今取ることが笑っている父親・母親には必要なのではないでしょうか?

 

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