イクメンが流行り、子どもを育てることに積極的に関わりたい男性は増えました。しかしまだ妊娠や不妊など子どもを作ることに関しては女性が主語のままです。卵子の老化や高齢出産のリスクが話題になっていますが、子どもを作ることは女性だけではなく男女で共に作るにも関わらず、男性の視点で語られることが少なく、男性の意識も低いのが現状です。

政府が検討していた女性手帳に多くの批判が浴びせられたように、子どもを産む産まない、子どもの数、出産の時期や間隔は、少子化対策や国によって定められるものではなく、すべてのカップルと個人が、自由にかつ責任をもって決定でき、そのための情報と手段を得ることができる権利があります(性と生殖に関する健康/権利 Sexual and Reproductive Health and Reproductive Rights(SRHR))

リプロダクティブ・ライツは永きにわたって性と生殖における基本的人権としての「女性の自己決定権」とされてきました。女性には妊娠・出産をコントロールできる権利があるということです。一方、男性は単に精子の提供者としての存在ではありません。今や男性の育児が義務(育児がやるべきこと)ではなく権利(育児を楽しむこと)であるのと同様に、またリプロダクティブ・ライツがすべてのカップルと個人を対象としているとおり、男性にも「産ませる性」としての権利と自由があります。男性も子どもが欲しいと主張してもいいですし、子どもを作ることに関して積極的にポジティブに取り組んでもいいのです。

父親を支援するファザーリング・ジャパンでは、SRHRに関して女性だけではなく男性も当事者として主体的にコミットし、家族計画や夫婦関係、不妊、セクシャリティー、子どもへの性教育など性と生の問題を男女で考えていく社会を目指して活動して行きます。

 

妊活にファザーリング

今や6組に1組が不妊の検査や治療の経験があり、不妊治療中の22%は二人目以降不妊です。夫の家事・育児負担が妻の出産意欲につながり、第2子以降の出生割合が高まることは多くの先行研究で明らかとなっており、ファザーリングとワーク・ライフ・バランスの浸透が夫婦で妊活に取り組む上で大きなポイントとなります。

子どもを作るにはパートナーシップから

妊活、不妊治療にて子どもを作りたい、子どもができない、と悩む前に、カップルの心と体の関係が良好でないと始まりません。男女の性と生の違いを知り、男女の心と体のコミュニケーション、パートナーシップを考えていきます。

男性不妊の理解、啓発

不妊の原因の半数は男性に問題があります。卵子の老化と同様に精子も老化します。年齢とともに男性ホルモンの低下、性欲・精力の衰えは誰にでも訪れますが、多くの男性は自分の体についてほとんど知りません。男性も自身のことを学び、産ませる性として当事者意識と主体性を持てるように啓発していきます。

「父親になることを楽しもう」 男性妊活はポジティブに

男性不妊にはフィジカルの問題だけではなく、セックスレス、ED(勃起不全)や射精障害(中折れなど)の性機能障害(性行為障害)といったメンタルや夫婦関係の問題もかなり起因します。妊活期間中の義務的な性交やムードのない性交の繰り返し、マンネリ化が男性の性欲減衰や自信喪失に繋がります。プレッシャーやストレスが男性の妊活への意欲を削ぎ、夫婦間の溝を生むケースも多いです。FJの目指す「父親であることを楽しもう」と同様に「父親になることを楽しもう」をスローガンに、男性の妊活にポジティブに取り組みます。

二人目不妊(続発性不妊)は父親がポイント

前述のように二人目不妊に悩むカップルも多く、約3割が希望する人数を産めていません。阻害要因として母親の子育て不安感や負担感が挙げられ、夫婦の希望子ども数が夫のほうが少ないと実現確率が半減します。男性が子作り・子育てに前向きに取り組む姿勢が大切です。

セクシャリティーのタブーを打破

性と生殖は繋がっているにも関わらず、卵子の老化や高齢出産といった生殖の問題が主にフォーカスされがちです。女性は性行為と排卵は直接的な関係はありませんが、男性は性と生殖が女性よりも密接です。男性の性行為(性交もマスターベーションも)も生殖も、勃起して射精しなければなりません。男性にとって性的快楽を得るためには生殖能力が必要ですし、逆もまた然りで、生殖のためには性的興奮、性的充足が必要です。セクシャリティをタブー視せず、性と生について真剣に考えます。

夫婦関係とセックスレス

男性の草食化が話題になって久しいですが、出生率低下の大きな原因のひとつはセックス頻度の減少です。セックスレスの夫婦は増加傾向にあり40%を超え、原因の約20%は産後セックスレスです。子どもができると父と母の立場になりがちですが、夫婦の男と女の関係も大切です。

子どもへの性教育

子どもたちの周りには性の情報が氾濫しており、早期成熟、性の低年齢化が進んでいます。児童を対象とした性犯罪や性的虐待も問題となっています。学校での性教育は避妊や感染症の予防が主です(妊娠可能性について平成26年度の高2生から開始予定)。異性との接し方、性の尊重、安全な性交について教えるのは親の役割です。子どもは親のパートナーシップのモデルを見て男女の関係を学びます。
望まない妊娠を防ぐと同時に、子どもを産むことに希望を持てて、パパ・ママからも周りからも望まれて生まれてくる子どもを増やしたいです。

家族の性と生を考えよう

男性の役割の一つは『家族を守ること』だと考える人も多いでしょう。男性の甲斐性はお金を稼ぐことだけではありませんし、稼ぎが保証されている時代でもありません。大黒柱としての父親は経済的支柱よりも精神的支柱です。男性として女性の心と体を守ること、父親として家族を守ること、家族の性と生について一緒に考えていきませんか。